イケメン年下君がメロメロなのは、私って本当ですか?
「誕生日は?」
軽く質問してみると、蒼は少し考えて、にっこり笑いながら答えた。

「8月5日です」

「家族は?」
「両親と俺。一人っ子です」

「好きな食べ物は?」
「肉全般ですね」

「好きな音楽は?」
「洋楽ロックです」

「座右の銘は?」
「…え?考えたことないです」

そのたびに、蒼はにこにこと笑って、表情がころころ変わる。
こんなふうに素直に笑う彼を見ていると、なんだか心がほぐれていく。

「じゃあ、今度は真緒さんに質問」
蒼がにっこり笑いながら、私の顔を覗き込む。

「誕生日は?」
「4月20日」

「家族は?」
「上に兄がひとり」

「好きな音楽は?」
「オルタナティブ」

「座右の銘は?」
「明日は明日の風が吹く!」

「へー、そうなんだ」
蒼はまた、とびきりの笑顔になった。

こうして、少しずつ互いのことを知っていくのって——なんだか、楽しい。

「じゃあ、真緒さんの好きな食べ物は?」
蒼が目を輝かせて聞いてくる。

「アボカドです」
思わず小さく笑って答えると、蒼の目が一層ぱっと輝いた。

「わぁ、女子だ!かわいい!」

……女子だって、喜び方も完全に無邪気。

「じゃあ、覚えておきますね。次、何か食べに行くときは、アボカドメニューで決まり!」
にこにこ笑いながら蒼が言う。

思わず、私は「そうだね」と返事をした。

すると、蒼の喜びようったら……!
小さくガッツポーズをして、目をキラキラさせながら跳ね回る。

「やったぁ!次の約束できたー!」
……中学生かっ!
思わず心の中でツッコミを入れる。

私の心も久しぶりの楽しさを感じ始めていた。

「家まで送る!」
ときかない蒼に、根負けして、結局二人で一緒に帰ることになった。

「ここだよ」
住宅街の静かなマンションの前で、立ち止まる。

「今度はここに迎えに行きますね!」
鼻息が荒くて、少年のように張り切っている。

「いいから……」
思わず苦笑いを浮かべる私。
「じゃあね」
手を振りながら別れを告げる。

蒼は少し寂しそうに、にっこり笑った。
「また、会社で!」

その後ろ姿は……まるで、しっぽを振り回すわんこそのものだった。

家に帰ると、私は電気もろくにつけず、そのままベッドにダイブした。

……私の人生で、こんなにモテていいのだろうか……
今までの恋愛歴を思い返すと、なんだか謝りたくなるレベルだ。

この上なく好きと言われて……
頭では「落ち着け」と自分に言い聞かせるのに、心はぐらぐら揺れて止まらない。

私はそのままベッドに沈んでいた。

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