イケメン年下君がメロメロなのは、私って本当ですか?
電話が切れると同時に、私は思わずため息をついた。
「……ったく、係長まで茶化して……」

すると、布団の中から蒼の声。
「年休……いいじゃないですか」

「は?」

とろんとした瞳で、弱々しい声なのに、やけに甘い響き。
「俺のこと、もっと看病してください……真緒さんにいてほしい……」

心臓が一気に跳ね上がる。
「な、何言ってんの――!」

「真緒さんにいてほしいんです……」
掠れた声で、真っすぐに言われた。

「そんなこと、言うと、嫌いになっちゃうからね!!」

……しまった、と思った瞬間にはもう遅い。

それじゃあまるで、今は好き、と言っているみたいじゃないか。

案の定、蒼の顔をみると、この上なくとろけていた。
「わかりました……大人しく寝てますねぇ」

熱で赤い顔なのに、ますます幸せそうに緩んでいて、見ているこちらのほうが耐えられない。
「……ち、ちがう……」
私は小さく呟いたが、彼の耳には届いたのかどうか。

「私は、鳴海くんのスマホを届けにきただけなんだからね。勘違いしないでよね!」

自分でもわけが分からない捨てぜりふを吐いて、私は慌ててマンションをあとにした。

私はツンデレかっ!

もう、最後は彼の顔をまともに見ることもできなかった。

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