イケメン年下君がメロメロなのは、私って本当ですか？

職場に戻ると、周囲はごく普通に仕事をしていた。
「ありがとうね、来栖さん」
係長も、まるで何事もなかったかのように穏やかな声で言う。

……あれ？
もしかして、私の気のせいだった？
あのニヤニヤは、ただの思い込み？
周囲も特に視線を向けてくることもなく、机に向かって黙々と仕事をしている。

よ、よかった……。
深読みしすぎただけだったんだ、私。
ひとまず胸をなでおろす。

……けど。
パソコンを立ち上げながら、ふと頭をよぎる。
「嫌いになっちゃうからね？」
「勘違いしないでよね」

あのセリフを吐いた自分を思い出すたび、顔から火が出そうになる。
そして、彼のとろんとした笑顔も。

仕事に集中しなきゃと思いつつ、どうしても胸の奥がそわそわして仕方なかった。