イケメン年下君がメロメロなのは、私って本当ですか?
【side蒼】
布団に横になりながら、蒼はぼんやりと天井を見ていた。
まだ体はだるいし、熱のせいで頭も重たい。けれど、心だけは妙に冴えわたっている。
スマホを忘れたのは、本当にただの不注意だった。
昨日から調子が悪くて、朝は頭もぼーっとしていたし、会社を出るときもそのまま。
けれど――まさか、そのスマホを届けに来てくれたのが真緒さんだなんて。
「来栖です」
インターホン越しに聞こえたあの声を思い出すだけで、胸が高鳴る。
ここまできてくれた。
それだけでもう、どうしようもなくうれしかったのに。
さらに、体温計を買ってきてくれて、飲み物を飲ませてくれて、冷えピタをはってくれて。
台所に立って、慣れた手つきでうどんを作る姿まで見せられてしまった。
あのときの、自分を見守るような表情……。
体はきついはずなのに、幸福感が胸に満ちた。
「嫌いになっちゃうからね?」
あの言葉も、耳にこびりついて離れない。
――つまり、今は好きってことですよね。
頭の中で、何度も何度もリピートされる。
その直後に慌てて否定していたけど、もう遅い。
俺は聞き逃さなかった。
嫌いになるほど、好きだってことだ。
体は熱でうなされているのに、心は浮かれすぎて眠れない。
どちらの熱でこんなに火照っているのか、自分でもわからない。
けれど一つだけ確かなことは――
今日、真緒さんがここに来てくれて、看病してくれて。
それだけで、俺は生涯忘れられない一日になったということだ。
「……ああ、色んな意味で、熱がさがらない……」
枕に顔を埋めながら、幸せそうに呟いた。
蒼はスマホを握りしめていた。
画面を開いて、メッセージアプリを立ち上げる。
『今日は本当にありがとうございました』
と打ち込む。
……けど、いや、ありきたりすぎる。消去。
『うどん、すごく美味しかったです』
ああ、なんか子どもみたいだ。削除。
『嫌いになっちゃうからね?って、本当はどういう意味ですか?』
……やばい。これは絶対に送れない。速攻削除。
何度も何度も打っては消してを繰り返す。
文章を見返すたびに、顔が熱くなる。
「ちょっと待って、これ熱のせいじゃないよな……」
自分で自分に突っ込みながら、スマホを握りしめて天井を見上げる。
――だめだ。送れない。
変に思われたくないし、嫌われたくない。
でも、この気持ちを胸に抱えたまま眠れる気もしなかった。
まだ体はだるいし、熱のせいで頭も重たい。けれど、心だけは妙に冴えわたっている。
スマホを忘れたのは、本当にただの不注意だった。
昨日から調子が悪くて、朝は頭もぼーっとしていたし、会社を出るときもそのまま。
けれど――まさか、そのスマホを届けに来てくれたのが真緒さんだなんて。
「来栖です」
インターホン越しに聞こえたあの声を思い出すだけで、胸が高鳴る。
ここまできてくれた。
それだけでもう、どうしようもなくうれしかったのに。
さらに、体温計を買ってきてくれて、飲み物を飲ませてくれて、冷えピタをはってくれて。
台所に立って、慣れた手つきでうどんを作る姿まで見せられてしまった。
あのときの、自分を見守るような表情……。
体はきついはずなのに、幸福感が胸に満ちた。
「嫌いになっちゃうからね?」
あの言葉も、耳にこびりついて離れない。
――つまり、今は好きってことですよね。
頭の中で、何度も何度もリピートされる。
その直後に慌てて否定していたけど、もう遅い。
俺は聞き逃さなかった。
嫌いになるほど、好きだってことだ。
体は熱でうなされているのに、心は浮かれすぎて眠れない。
どちらの熱でこんなに火照っているのか、自分でもわからない。
けれど一つだけ確かなことは――
今日、真緒さんがここに来てくれて、看病してくれて。
それだけで、俺は生涯忘れられない一日になったということだ。
「……ああ、色んな意味で、熱がさがらない……」
枕に顔を埋めながら、幸せそうに呟いた。
蒼はスマホを握りしめていた。
画面を開いて、メッセージアプリを立ち上げる。
『今日は本当にありがとうございました』
と打ち込む。
……けど、いや、ありきたりすぎる。消去。
『うどん、すごく美味しかったです』
ああ、なんか子どもみたいだ。削除。
『嫌いになっちゃうからね?って、本当はどういう意味ですか?』
……やばい。これは絶対に送れない。速攻削除。
何度も何度も打っては消してを繰り返す。
文章を見返すたびに、顔が熱くなる。
「ちょっと待って、これ熱のせいじゃないよな……」
自分で自分に突っ込みながら、スマホを握りしめて天井を見上げる。
――だめだ。送れない。
変に思われたくないし、嫌われたくない。
でも、この気持ちを胸に抱えたまま眠れる気もしなかった。