イケメン年下君がメロメロなのは、私って本当ですか?
「部署は違っても、たくさん遊んで、たくさんデートして……そうしましょ?」

そう言った蒼の顔は、もう、反則級に甘い。
くしゃっと目尻を下げて、とろけるように微笑むその表情。

……か、かわいすぎる!!

心臓をぎゅっと握られたみたいに、息が詰まった。
仕事のことも、将来のことも、不安に思えばきりがない。
でも――この笑顔を見ていると、それだけで「まあ、いっか」と思えてしまう。

「……うん」
私は小さな声で返事をした。

蒼はその言葉を聞いただけで、子どものように嬉しそうに頬を染める。
ああ、本当に初恋なんだな、って思う。
でも、そんな初恋を向けられているのが、私なんだ。

くすぐったくて、どうしようもなく幸せだった。

けれど、彼の異動は、そう甘くはなかった。

蒼が異動してから、二人で過ごせる時間は一気に減った。
出張や接待、会議の予定……彼のスケジュールは常にびっしりで、メッセージも短くなる日が増えていった。

少し寂しい気持ちが胸に渦巻くけれど、そんな弱音を口にする勇気は出なかった。
だって、蒼は本当に頑張っている。
新しい部署で慣れないことも多いはずなのに、私に笑顔を見せようと努力してくれている

「真緒、今日も会えなくてごめん……」
蒼のメッセージに、思わず胸がきゅんとなる。
その一言だけで、会いたい気持ちがますます募ってしまう。

いつの間にか、蒼は私を「真緒」と呼ぶようになり、ため口で話すことも増えていた。
その柔らかい口調や、ちょっと甘えるような呼び方に、胸がくすぐったくなる。

でも、物理的な距離はまだ遠いまま。
出張や残業で忙しい彼に、いつ会えるのか分からない日々が続いていた。
それでも、心のどこかで「次に会える日」を待っている自分がいる。

そんなとき――
「真緒!」
後ろから聞き慣れた声がした。

振り返ると、そこにはにこにこと笑う蒼の姿があった。
「……蒼……」
思わず小さく呟いた私に、彼は軽やかに駆け寄ってきて、手を伸ばした。
心臓がどきどき鳴る。
久しぶりに会えた喜びと、彼の笑顔に、自然と笑みがこぼれた。

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