イケメン年下君がメロメロなのは、私って本当ですか?
13
「蒼……今日、話があるの」
夕飯のあと、食器を片付けてから、私は小さく切り出した。
私の胸の中は冷たい緊張でいっぱいだった。
「うん?どうしたの?」
蒼は無邪気に笑っていた。けれど私が深刻な顔をしているのを見て、すぐに表情を曇らせた。
「……この前の電話の人、美和さんって言う人だった」
その瞬間、彼の顔から一気に色が引いた。
驚きというより、どこか納得したような、嫌な予感が当たったという顔。
「……やっぱり」
ぽつりと呟いた。
私は、美和とのやり取りを包み隠さず話した。
カフェに呼び出されたこと。
彼の変化を「証明してみせて」と挑むように言われたこと。
私の年齢が上すぎること。
話し終えると、蒼はぎゅっと拳を握りしめて、黙り込んだ。
普段は優しい彼からは想像もつかない、険しい顔。
「……真緒も会ったのか」
低く抑えた声が落ちる。
「うん。隠しておけないと思って。でも、真緒もって……」
蒼は深く息を吐き、しばらく押し黙った。
「実は……俺も会ったんだ
「え……?」
思わず言葉を失った。
彼のもとにも――。
「取引先の人だった。同じゼミだったから、顔は覚えてたけど……」
唇を噛む彼の姿に、胸が締めつけられる。
「なんなんだろう……」
蒼は頭を抱えるようにして呟いた。
「俺、里中には……ゼミのときだって、興味なんて持ったことない。向こうも俺のことを気にしてるようには見えなかった。
なのに、なんで今さら……俺に執着する理由が分からない」
彼の目は、深い困惑と苛立ち、そしてほんの少しの恐怖で揺れていた。
私はそっと彼の手を取った。
「……分からないけど。でも、蒼は私を選んでくれている。だから私は、蒼を信じる」
蒼は目を瞬かせ、そして小さく頷いた。
「……ありがとう。真緒がそう言ってくれるだけで、少し落ち着く」
けれど、その笑顔の奥に潜む影は、簡単には消えそうになかった。
「俺、同じゼミで連絡とれるやつに聞いてみる」
蒼は決意したように言った。
「里中がこうなっている理由が分かるかもしれない」
その真剣な横顔に、私は小さく頷いた。
「……うん。でも、あんまり一人で抱え込まないでね」
蒼は私の目をじっと見つめ、ふっと口元をゆるめた。
「大丈夫。俺には真緒がいるから」
その言葉に、胸の奥が熱くなる。
でも同時に、不安が胸をよぎった。
もし理由が”私の存在”そのものだったら……?
蒼を困らせる要因になってしまうのではないか。
「真緒は不安にならなくていいよ」
そう言って、彼は私を抱き寄せた。
私は蒼の胸に顔をうずめて、小さく答えた。
「……分かった」
彼が同級生から何を聞き出すのか――。
彼の胸は温かくて柔らかいけれど、それが分からなければ、私は落ち着かないだろう。
夕飯のあと、食器を片付けてから、私は小さく切り出した。
私の胸の中は冷たい緊張でいっぱいだった。
「うん?どうしたの?」
蒼は無邪気に笑っていた。けれど私が深刻な顔をしているのを見て、すぐに表情を曇らせた。
「……この前の電話の人、美和さんって言う人だった」
その瞬間、彼の顔から一気に色が引いた。
驚きというより、どこか納得したような、嫌な予感が当たったという顔。
「……やっぱり」
ぽつりと呟いた。
私は、美和とのやり取りを包み隠さず話した。
カフェに呼び出されたこと。
彼の変化を「証明してみせて」と挑むように言われたこと。
私の年齢が上すぎること。
話し終えると、蒼はぎゅっと拳を握りしめて、黙り込んだ。
普段は優しい彼からは想像もつかない、険しい顔。
「……真緒も会ったのか」
低く抑えた声が落ちる。
「うん。隠しておけないと思って。でも、真緒もって……」
蒼は深く息を吐き、しばらく押し黙った。
「実は……俺も会ったんだ
「え……?」
思わず言葉を失った。
彼のもとにも――。
「取引先の人だった。同じゼミだったから、顔は覚えてたけど……」
唇を噛む彼の姿に、胸が締めつけられる。
「なんなんだろう……」
蒼は頭を抱えるようにして呟いた。
「俺、里中には……ゼミのときだって、興味なんて持ったことない。向こうも俺のことを気にしてるようには見えなかった。
なのに、なんで今さら……俺に執着する理由が分からない」
彼の目は、深い困惑と苛立ち、そしてほんの少しの恐怖で揺れていた。
私はそっと彼の手を取った。
「……分からないけど。でも、蒼は私を選んでくれている。だから私は、蒼を信じる」
蒼は目を瞬かせ、そして小さく頷いた。
「……ありがとう。真緒がそう言ってくれるだけで、少し落ち着く」
けれど、その笑顔の奥に潜む影は、簡単には消えそうになかった。
「俺、同じゼミで連絡とれるやつに聞いてみる」
蒼は決意したように言った。
「里中がこうなっている理由が分かるかもしれない」
その真剣な横顔に、私は小さく頷いた。
「……うん。でも、あんまり一人で抱え込まないでね」
蒼は私の目をじっと見つめ、ふっと口元をゆるめた。
「大丈夫。俺には真緒がいるから」
その言葉に、胸の奥が熱くなる。
でも同時に、不安が胸をよぎった。
もし理由が”私の存在”そのものだったら……?
蒼を困らせる要因になってしまうのではないか。
「真緒は不安にならなくていいよ」
そう言って、彼は私を抱き寄せた。
私は蒼の胸に顔をうずめて、小さく答えた。
「……分かった」
彼が同級生から何を聞き出すのか――。
彼の胸は温かくて柔らかいけれど、それが分からなければ、私は落ち着かないだろう。