あこがれドレス ~地味子な私がプリンセス♪
第三章 姫、野獣に出会う
文化祭から数日。
あの日のドレスの記憶は、今も心の奥でふわりと温かく残っていた。
けれど、同時に「お姫様になれたのは一日だけ」という思いもあって、
私は普段どおりの地味な制服姿に戻っていた。
放課後、
図書室で借りた本を抱えて廊下を歩いていると、不意に肩に誰かの手が伸びてきた。
「おい、ちょっと待て」
振り向くと、背の高い男子が立っていた。
きりっとした目元に整った顔立ち、制服の着こなしもどこか洒落ていて、
ひと目で「イケメン」だとわかる。
けれど、その第一声は強引で、私は思わず一歩下がってしまった。
「な、なんですか?」
「お前、この間の文化祭で姫やってただろ?」
「……えっ!」
心臓が跳ね上がる。どうしてそれを――。
「やっぱりな。あの時見たときから気になってたんだ」
「き、気になって……?」
「そう。俺の目、節穴じゃないからな。
お前、普段は地味にしてるけど……
ドレス着てた時、まるで本物の姫だった」
ずいっと顔を近づけられ、慌てて下がる。
「ち、近いです!」
「ふん、照れてるのか? かわいいな」
「か、かわ……っ!? な、なに言ってるんですか!」
にやりと笑うその様子に、私は思わず「野獣みたい」と思った。
ぐいぐい距離を詰めてきて、こちらの反応なんてお構いなし――苦手だ、と思う。
けれど、それから何度も彼と顔を合わせることになった。
あの日のドレスの記憶は、今も心の奥でふわりと温かく残っていた。
けれど、同時に「お姫様になれたのは一日だけ」という思いもあって、
私は普段どおりの地味な制服姿に戻っていた。
放課後、
図書室で借りた本を抱えて廊下を歩いていると、不意に肩に誰かの手が伸びてきた。
「おい、ちょっと待て」
振り向くと、背の高い男子が立っていた。
きりっとした目元に整った顔立ち、制服の着こなしもどこか洒落ていて、
ひと目で「イケメン」だとわかる。
けれど、その第一声は強引で、私は思わず一歩下がってしまった。
「な、なんですか?」
「お前、この間の文化祭で姫やってただろ?」
「……えっ!」
心臓が跳ね上がる。どうしてそれを――。
「やっぱりな。あの時見たときから気になってたんだ」
「き、気になって……?」
「そう。俺の目、節穴じゃないからな。
お前、普段は地味にしてるけど……
ドレス着てた時、まるで本物の姫だった」
ずいっと顔を近づけられ、慌てて下がる。
「ち、近いです!」
「ふん、照れてるのか? かわいいな」
「か、かわ……っ!? な、なに言ってるんですか!」
にやりと笑うその様子に、私は思わず「野獣みたい」と思った。
ぐいぐい距離を詰めてきて、こちらの反応なんてお構いなし――苦手だ、と思う。
けれど、それから何度も彼と顔を合わせることになった。