Edge Of A Broken Heart 〜最悪続きのあとに〜
 真田が電話に出るのを待っている途中、切りたいと思った。
「はい、真田です」
 切ろうとした矢先、そんな声がしたので、何故かドキッとする。
「あ⋯⋯私、水⋯⋯」
「水野菜摘先輩ですか?」
 遮るように、訊き返された。
「そうだけど」
「職権乱用でこちらから電話するわけにもいかないし、先輩からの電話、待ってたんですよー!嬉しいなぁ⋯⋯。卒業から八年ぐらいですかね。先輩、お元気でしたか?」
 この電話で、昔の思い出話をする気はない。
「用件だけ言うわ。借りた傘を返そうと思って」
「今、自宅ですか?」
「まあね」
「じゃあ、今から伺いますよ」
「え!?今から来るの!?」
 あまりにも急な話だ。
「はい。今、お忙しかったですか?」
「そうじゃないけど⋯⋯」
「じゃあ伺いますよ。住所教えてください」
 普通、今すぐ来るかなぁ⋯⋯と思いつつ、渋々、住所を伝える。
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