Edge Of A Broken Heart 〜最悪続きのあとに〜
 昔からそうだったが、真田の声は大きいというか、よく通る。
 玄関前で、あれこれ思い出話を始めるので、
「ちょっと!玄関先でデカい声で立ち話しちゃ、近所迷惑でしょ!警察のクセに、全く⋯⋯」
「あ⋯⋯すみません」
 おもむろに小声になる。
「はぁ⋯⋯さっさと入りなさいよ」
「え!?いいんですか!?」
「だから、声がデカくて迷惑だってば!早く!」
「じゃあ、お邪魔します⋯⋯」
 真田は、少し遠慮がちに部屋に入ってきた。
 しかし、遠慮がちだったのはほんの束の間で、ワンルームの部屋中を無遠慮に眺めて、いちいち、とりとめのない感想を口にする。
「ねえ。あんまりウロウロしないで、じっと座ってくれない?」
「すみません。つい、浮かれてしまって⋯⋯」
 テーブルの向こう側に座る真田。
「紅茶でいい?」
「え?お構いなく」
 冷蔵庫からボトルの紅茶を二本取り出し、テーブルにドンと置いた。
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