Edge Of A Broken Heart 〜最悪続きのあとに〜
 あの修羅場から数日経っても、なんだか元気が出ないまま。
 私⋯⋯失恋したってことだよね?
 思えば、私はこれまでに失恋の経験がないので、これが別れであり、失恋なのか⋯⋯と、どこか他人事のように感じていた。
 失恋というのは、死ぬほど悲しいことなのかと思っていたが、あの時感じたのは激しい憤り。今は、惨めさと羞恥心と幻滅。
 こんな時、人間相手の仕事をしていると、しんどさを感じる。
 自分のプライベートなことで、どれほど心が乱れようと、生徒さんの前ではそれを完全に隠さなければいけない。
 23才。
 まだ若いのか、そうでもないのか。
 ギタリストになることを夢見ていたが、親には必ず大学に進学するよう言われたので、音大に進学し、ギターを専攻。
 思い描いていた夢は超有名ギタリストだったのに、実際の私は、しがないギター講師。
 教える相手は違えど、基本中の基本ばかり教える日々の繰り返し。
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