偽りの恋人契約でしたが、御曹司社長に抱き潰されました
レストランの料理はどれも美味しくて、会話もほどよく弾んでいた。

「高志も、父親が会社の社長なんだ。」

霧島社長が言うと、私は思わず目を丸くする。

「へえ……御曹司さんなんですね。」

何気なくそう言った瞬間、高志さんがふっと笑った。

「“御曹司”って言葉、あまり好きじゃなくてね。」

「す、すみません……」

私があわてて頭を下げると、高志さんはやわらかく手を振った。

「大丈夫。初対面の人は皆そう言うから。慣れてるよ。」

ああ、なんていい人なんだろう――と、素直に思ったその時。

高志さんがふと霧島社長に視線を向ける。

「こんな可愛い人が隣にいたらさ。そりゃ、見合い話なんて断るよな?」

「……ああ。美緒と結婚するつもりだし。」

「っ――!」

胸がドクン、と音を立てた。
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