偽りの恋人契約でしたが、御曹司社長に抱き潰されました
「こんにちは。裕哉さんにはいつもお世話になっています。」

そう挨拶をすると、彼の友人・高志さんは豪快に笑った。

「お世話っていうか、逆に裕哉の世話してるんじゃない?」

「こら、高志。余計なこと言うな。」

霧島社長が笑いながらたしなめる。

けれど私は少し安心した。友人の方が気さくな人でよかった。

「店、この近くだよ。」

高志さんが指さした先には、落ち着いた雰囲気のフレンチレストラン。

歩き出そうとしたそのとき、霧島社長がすっと腕を差し出してきた。

私はためらいながらも、その腕にそっと手を回す。

社長のスーツ越しに伝わる体温に、胸がじんわりと熱くなった。

恋人のフリ――

だけど、たったそれだけで、こんなにも嬉しくなるなんて。
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