偽りの恋人契約でしたが、御曹司社長に抱き潰されました
「……まだ、手ぇ付けてないだろ?」

私は思わず、手にしていたコーヒーカップを落としそうになる。

なんとか持ち直したけれど、顔が一気に熱くなったのを感じた。

「まあ……確かに。」

「えっ?」

社長――今、認めましたよね⁉

心の中で叫んだその瞬間、高志さんがさらに畳みかける。

「キスくらいはしてるんだろう?」

カップを持つ手が震えた。

その場から逃げ出したいくらい、全身が熱くなっていく。

霧島社長は、果たしてどう返すつもりなのだろう――。

「そうだな。」

さらりと霧島社長が頷いた瞬間、私は内心で叫んだ。

(えええっ⁉ キスなんて、したことないですけどっ!?)

高志さんは満足げに笑い、さらに追い打ちをかけてくる。

「ははっ、いいね。じゃあ“思い出のキス”は?」

この人……完全に面白がってる。
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