偽りの恋人契約でしたが、御曹司社長に抱き潰されました
控え室の隅で、霧島社長が優しく声をかけてきた。

「はい。秘書として万全です。」

口元を引き締めて答えると、彼はおかしそうにクスッと笑った。

「今日は……恋人として、隣にいてくれ。」

「は、はいっ!」

言われた瞬間、頭の中が真っ白になった。

社長が差し出した手に、私の手が自然に重なる。

その温かさが、今夜の立場を静かに、でも確実に教えてくれる。

私は“秘書”ではなく、“恋人”として彼の隣にいる。

そう思っただけで、心の奥がくすぐったくなるほど熱くなった。

パーティー会場のシャンデリアが煌びやかな光を放ち、招かれた紳士淑女たちの会話が高らかに響く。

私たちも、社交の輪の一角にいた。

ふと隣からの視線を感じて、顔を向ける。

霧島社長が、私をじっと見つめていた。

まっすぐに。あまりにも真剣で、呼吸が止まりそうになる。

「……裕哉さん?」
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