偽りの恋人契約でしたが、御曹司社長に抱き潰されました
パーティー会場の一角。

霧島社長は、次々と重役たちに声をかけられていた。

その傍らで、私は小さく深呼吸し、彼の耳元にそっと囁いた。

「……あの方は、上田社長です。今期の決算では、前年を大きく上回っています。」

「ほう、助かる。」

頷いた社長は、柔らかな笑みを浮かべて会釈する。

また一人、重役が近づいてくる。

「次の方は、茂木社長です。たしか御曹司が部長に就任されたと……」

そう耳打ちした瞬間だった。

「はははっ!」

社長が思わず吹き出した。

「なにそれ、なんでそんなことまで知ってるの?」

「えっ……すみません。秘書の仕事として……」

頬がじんわり熱くなる。だがその時――。

「おや、楽しそうですね。」

気づけば茂木社長ご本人がすぐ傍に立っていた。

「いえ……」

社長が苦笑しながら言葉を選ぶ。
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