偽りの恋人契約でしたが、御曹司社長に抱き潰されました
至近距離で息がかかる。高志さんの顔が、すぐそこにあった。

「だって裕哉ともしてたじゃん。」

まるで責めるような声。

彼の顔がぐっと近づき、私は思わず首をすくめる。

「やめてくださいっ!」

悲鳴にも似た声を上げたが、その瞬間、彼の唇が私の頬に触れた。

一瞬、時が止まったような感覚。鳥肌が立ち、全身が強張る。

「裕哉だけ、いつもずるいんだよ。」

耳元で囁かれたその声は、苦い執着と羨望に満ちていた。

「えっ……」

唖然とした私を前に、高志さんは目を細めた。

「いつも綺麗な女ばかり連れて。今回だって、君を騙してまで恋人のフリをさせてさ……」

その瞳には、怒りとも哀しみともつかない、得体の知れない感情が渦巻いていた。

今の彼は、かつて気さくで優しかった高志さんとはまるで別人だった。

私の中に、不安が音を立てて膨らんでいく。
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