本気の恋も三度まで〜恋愛したくなったら同僚がチャンスをくれました
なんで。。。
茉琴は声にしかけて飲み込む。

圭人からの三回のチャンス。
付き合うことになれば、彼にとっても紹介した甲斐がある。
そう思ってもらえるのだろうか。

しかし茉琴は圭人にそう伝えたくない気持ちが膨らんでいた。

そのとき、圭人のデスクに置かれた彼のスマホが鳴る。

二人ははっとしてスマホを見る。
画面には『美咲』の文字が見えた。

圭人はすぐに電話を取ると、「かけなおす」とだけ伝えて電話を切る。
そのままスマホを手に席を立つと、フロアを離れた。


茉琴はどっと全身の力が抜ける。

圭人は仕事中にプライベートの電話を取るような人間ではない。
なのに美咲からの電話を折り返すのは、彼女との仲を示すようなものだ。

二人は別れてはいない。
茉琴には確信のようにそう思えた。
< 82 / 95 >

この作品をシェア

pagetop