本気の恋も三度まで〜恋愛したくなったら同僚がチャンスをくれました
圭人は深くため息をついた。
少し寂しげな顔が見えたのは、茉琴の気のせいかもしれない。

「団体に所属しているわけではないし、そろそろ離れることにしたんだ。
美咲も別に誰かに話すことでもないのにな。

このソース、水野好みの味だな」

「うん。これかなりいい」

メインの肉料理は茉琴好みのかんきつ系をベースにした味付けだった。

圭人が急に話を切り替えたのは、やはり美咲との間に何かあったのかと茉琴は心配になる。
しかし圭人を見ると、表情は茉琴が知る普段の圭人そのままだ。

美咲と何があったのかと問いたい気持ちはあるが、また圭人と険悪な雰囲気になるのも嫌で茉琴は話を切り出せない。

圭人が話を切り替えたのを幸いに、茉琴が仕事の話題を振ればすぐに話題は仕事中心となり、食事を終えても話は尽きない。
個室では給仕以外では人の出入りもなく、気兼ねなく話をすることができた。
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