Dearest
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学園祭当日、朝から、普段の学校には無い活気があって驚く。
高校の学園祭って、こんなに盛り上がるんだ…
「心ー!おはよう!」
私に挨拶をしてくれた美亜は、いつもと雰囲気が違う。
いつも大人っぽくて綺麗だけど、今日は緩く髪をまとめていて、いつもはストレートの髪の毛がウェーブがかっていた。か、可愛い…
「美亜、髪型すごい可愛いね…!いいなあ…」
「でしょー?あ、心にもやってあげる」
慣れた手つきでコテを駆使して、素早く私の髪を変えてくれた。
美亜、美容師さんとか向いてるんじゃないかな…
「…あーあ、やっぱり心のが可愛い」
「そ、そんな事ないよっ…!美亜のほうが、」
「わ、いいじゃん、その女子っぽい感じ!俺好き、そっちのが良い!」
「ユキに褒められてもなあー」
「んだよ、素直に喜べ。なあ拓?」
「ん?…あ、可愛い」
呟くように言う拓くんに、思わず笑う。
声小さくない?、と拓くんに戯れる美亜が見れて良かった。
私たちのクラスは、アイスのお店で、ユキくんがリーダーとして仕切ってくれていた。
お揃いのクラスTシャツを着て、学園祭開始から行列ができ、お店は大盛況だ。
忙しなく接客をしている間、行列の後方が騒ついているのに美亜が気付いた。
「なんか騒ついてない?」
「そう、かな…?」
今日は学校全体が騒ついていて、近づかなきゃ会話すら聞こえないくらいだ。
…でも確かに、さっきよりはざわざわしている気がする。
「……あー、なるほど。心のせいだね」
「…え?」
ほら、と言われて美亜の自然を追うと、そこには木崎くんとツカサくんの姿があった。
「…わ、私のせいじゃなくて、あの二人のせいだよ…!」
「だって、木崎くんは心に会いにきてるんだから、心のせい」
「な、そんなわけないでしょ…!アイス目当てだよ」
「木崎くんがアイス目当てで来るわけないでしょー」
…ううん、本当に違う。
木崎くんが私目当てでなんて、来るわけないのだ。
チラッと木崎くんのほうに視線を向ける。
背の高い二人は、遠くからでも良く見えた。
今日も木崎くんは相変わらず格好良くて、周りの女の子達から写真を求められていた。
私の視線に気付いたツカサくんが、ヒラヒラと手を振ってくれて、それに小さく手を振り返す。
嬉しそうに笑ってくれたツカサくんを見て、美亜は「心って、本当好かれるよね~」と隣で呟いた。
木崎くんとツカサくんが、徐々に近づいてくる度、緊張がじわじわと高まってくる。
…何でこんなに、ドキドキするの…
「心ー!こっちアイス無くなっちゃった!どこにある?」
もう木崎くん達が目の前に来る、ってタイミングで後ろからクラスメイトに呼ばれた。
「美亜、ごめん、ちょっと抜けるね」
「ちょっ、心!」
…後で美亜に怒られる、と思いながらも、木崎くんに会わなくて良かったと内心ホッとしていた。