すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 明かりのないスヴェンの部屋に、窓から月光が差し込んでいた。
 窓を開けると淡い光が広がり、部屋はたちまち幻想めいた明るさに包まれた。

 私は窓辺でスヴェンの日記のことをエリオスに話した。
 彼の残した言葉を伝えると、エリオスは神妙な面持ちになり、静かに語った。

「彼は本当に繊細だった。俺の苦しみを取り除き、希望を与えてくれた。ああやって、きっと多くの人を救ってきたのだろう」


 さらにエリオスは自分の過去も語ってくれた。
 毒に蝕まれ視力を失った経緯。死を選ぼうとしたほどの絶望。
 そしてスヴェンに出会い、生きる気力を取り戻したこと。
 
 その話を聞くたびに胸が締めつけられる思いがした。
 けれど、その痛みの奥から、別の衝動が湧き上がってくるのを感じた。
 理屈では説明できない、全身を焦がすような熱い渇望。

 描きたいと言う思いだ。

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