すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
「あなたのために、絵を描きたいわ」
私はそう言って、月明かりに照らされた明るいバルコニーへ歩み出た。
眼下には夜の庭園が広がっている。
右手を掲げると、暖かい光が宿る感覚がした。
手を動かすと、空中に細い光の線が滑り出す。
最初は銀糸のように途切れがちだったが、描き進めるうちに線が繋がって、絡んで結び合い、光の輪郭に厚みが増した。
「ああ、これだわ」
あの夜と同じ感覚が全身を包み込んでいく。
完成に近づくと、私は振り返り、そばに佇むエリオスに訊ねた。
「エリオス、見えるかしら?」
彼は微笑んで小さく頷く。
「ああ、見えるよ。馬に跨り草原を駆ける騎士の姿だ」
「正解よ」
ふたりで並んで静かにその光景を眺める。
月明かりの下に浮かぶ光の絵は、まばゆくあたりを照らしている。
前回は無意識に描いたものだったが、今回はスヴェンの日記が教えてくれた。
あのときは自分の心を、そして今はエリオスの心を描いたのだ。
「これは、俺が子供の頃から夢見てきた理想の姿だ。叶わないと思っていたけど、君の絵を見て、不思議と吹っ切れた気がする」
エリオスの口調は穏やかだ。
私はそう言って、月明かりに照らされた明るいバルコニーへ歩み出た。
眼下には夜の庭園が広がっている。
右手を掲げると、暖かい光が宿る感覚がした。
手を動かすと、空中に細い光の線が滑り出す。
最初は銀糸のように途切れがちだったが、描き進めるうちに線が繋がって、絡んで結び合い、光の輪郭に厚みが増した。
「ああ、これだわ」
あの夜と同じ感覚が全身を包み込んでいく。
完成に近づくと、私は振り返り、そばに佇むエリオスに訊ねた。
「エリオス、見えるかしら?」
彼は微笑んで小さく頷く。
「ああ、見えるよ。馬に跨り草原を駆ける騎士の姿だ」
「正解よ」
ふたりで並んで静かにその光景を眺める。
月明かりの下に浮かぶ光の絵は、まばゆくあたりを照らしている。
前回は無意識に描いたものだったが、今回はスヴェンの日記が教えてくれた。
あのときは自分の心を、そして今はエリオスの心を描いたのだ。
「これは、俺が子供の頃から夢見てきた理想の姿だ。叶わないと思っていたけど、君の絵を見て、不思議と吹っ切れた気がする」
エリオスの口調は穏やかだ。