すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
「ところで、君のクローゼットでこんなものを見つけたんだけど」

 アベリオが私に見せたのは、レイラの髪色に似せて作ったウィッグだった。
 それは闇商人と会うとき、あるいは男たちと遊ぶときにつけていたもの。
 レイラが男遊びをしている、という噂を流すための小道具でもある。

「まあ、アベリオ。私のクローゼットを勝手に開けたの?」
「君が宝石を見て選んでほしいと言っただろう。箱を開けたら、これが出てきたんだ」

 処分すべきだったかしら。
 だけど高かったし、捨てるのは惜しかったのよ。
 これからも何かあれば使う予定だったしね。


「それはね、おしゃれの一環よ。レイラとたまにお互いの髪色を変えて遊んでいたの。あの子も私に似せたウィッグを持ってるのよ」

 苦しい言い訳だとわかっている。
 どうにかこの話を終わらせたい。そう思ったのに。

「なるほど。じゃあ、僕が見たレイラは、君だった可能性もあるわけだね?」

 どきりと、心臓が跳ねた。
 まさか、気づいたの――?

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