すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 エリオスは小さく頷き、穏やかな口調で言った。

「君は努力家だ。前に進もうとする意欲が強い。だからこそ、少し肩の力を抜いてもいいと思う」

 その声音には、慰めではなく信頼があった。
 私は思わずため息をつく。

「いつまでもお世話になりっぱなしというのも気が引けて。早く自活できるようになりたいの」

 言葉とともに、焦燥が滲む。
 今後のことを考えたら、できる限り早く自立したほうがいい。

 エリオスの年齢を考えたら、そろそろ彼には縁談話が来るはずだもの。
 私がいるせいで彼の結婚を邪魔するわけにはいかない。
 
 エリオスは少し沈黙したあと、やがて静かに告げた。

「そのことだが、俺はレイラにずっとこの家にいてほしいと思っている」
「え……?」

 一瞬、何を言われたのか理解できなかった。
 それは、どういう意味なのだろう。

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