すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 彼の手がそっと私の手に触れ、指先を確かめるようにそっと絡ませてくる。
 その仕草にどきりとして、私の胸の奥が急激に熱を帯びた。

「エリオス……?」

 彼の唇がわずかに動く。

「レイラ、俺は君のことが……」

 その瞬間、扉が小さく叩かれた。

「エリオス様、来客でございます」

 サイラスの声がこの場の空気を破った。
 エリオスは無言のまま動かず、サイラスが怪訝そうに首を傾げる。

「あ、これは失礼いたしました。お邪魔でしたか?」
「え? そ、そんなことありません!」

 私は慌てて立ち上がり、耳まで熱くなるのを感じた。
 エリオスが小さくため息をつく。

「今日は来客の予定はなかったはずだが?」
「はい。事前連絡がなければお会いできない旨をお伝えしましたが、どうしてもと」
「一体、誰だ?」
「大変言いにくいのですが、レイラ様のお父上だと」

 お父様……⁉
 もしかしたら、セリスから私がここにいることを聞いたのかもしれない。
 だけど、いきなり訪問するなんて――

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