すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
「それは、無理だわ」
「なぜ?」
「……答えなきゃだめかしら」
「俺は今、君に絵の依頼をしたのに断られたんだ。その理由が知りたい」

 エリオスの声は静かな熱を帯びている。
 私はその響きに胸が高鳴り、息をするのも忘れてしまいそうになる。

 理由なんて、口にするのも恥ずかしい。
 それでも、逃げずに短く答えた。

「あなたの中には、私しかいないんだもの」
「その通りだよ、レイラ。俺はずっと君のことしか考えていない」

 そのひとことで、全身が一気に熱を帯びた。
 もう手の冷たさなんてどこかへ消えて、むしろ汗が滲むほどだった。


「君の姿が見たい。君の顔が見たいんだ。俺が今、望んでいるのはそれだけだ」

 その声音から、エリオスの切実な思いが深く伝わってきた。

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