すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
「ずいぶん熱い。熱でもあるのだろうか?」
「それは……あなたのせいよ」
「そうか。では責任を取らなければならないね」
「えっ……」

 エリオスは私の背中に腕をまわして、私を抱き寄せた。
 一瞬、何が起こったのかわからなくて目を見開いた。
 すると彼は次にとんでもないことを言った。

「生涯、君を守るから……ずっとここにいてほしい」

 彼の低く落ち着いた声が、静寂の中に響く。
 私は呼吸を忘れるほど驚いて、彼を見つめたまま固まった。

「そ、それは……」
「俺の妻になってほしい」

 あまりにもまっすぐな言葉に、思考が追いつかない。
 ただ胸の奥で、何かがほどけるような音がした。

「そんな……っ」

 まさか、こんな形で彼に想いを告げられる日が来るなんて――


 驚きと戸惑いで、言葉がうまく出てこない。
 けれど、彼は少しも視線をそらさず、私をじっと見つめたままだ。

「嫌なのか?」

 その問いに、私は慌てて首を振る。

「嫌じゃないわ。けれど、あなたには縁談話がたくさんあるでしょう?」
「俺が心から惹かれたのは君だけだ。君の容姿ではなく、内面に惹かれた。俺のそばにいてほしい」

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