すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
「誤解しないで。私はエリオスのことが好きで、彼のそばにいるの。それに、彼は私の心を見てくれるのよ。それだけじゃないわ。彼は、いつか私がまた絵を描けるようになると言ってくれた。私の手を治すために、あらゆることをしてくれるの。私の気持ちを一番理解してくれる人よ」

 強い口調でそう言うと、アベリオは何を勘違いしたのか、笑みを浮かべて言った。


「なんだ、手を治したいのか。だったら、うちの侯爵家が懇意にしている医師に頼んであげるよ」
「そういうことじゃないの。あなたは、何もわかっていないわ」
「レイラ、君はどうしてそんなに我儘になったんだ?」
「っ……!」

 呆れて言葉を失った。
 この人は、どうしていつまでも理解しようとしないのだろう。

 怒りと失望が胸の奥で入り混じり、苦しくなる。
 これでも昔は愛した人だったのに。

 そのとき、ふいに背後から落ち着いた声が響いた。


「何やら騒がしいと思ったら、一体何事ですか?」

 どきりとして振り返ると、ハルトマン侯爵が静かに立っていた。

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