すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 それでもセリスは怯むことなく、声をかけてきた。

「公爵様はレイラのことを勘違いされていますわ」

 その言葉に、思わず足を止める。
 セリスは待っていたかのように畳みかけてきた。


「レイラは幼い頃からずっと私を虐めてきたのです。私がほしいものをいつも横取りして、乱暴もありましたわ。私は姉のように慕っていたのに、レイラは私を見下して蔑んでいたのです」

 震える声で訴える彼女。だが、その奥底に潜む感情は苦しみや悲しみではなく、歪んだ執着だ。

「言いたいことはそれだけか?」
「えっ……?」
「俺はこれで失礼する」

 背を向けた瞬間、彼女の声が追ってきた。

「お待ちになって! 私はあなたに忠告しているのですわ。レイラは婚約者がいたのに外で愛人を作り、夜の町で遊び歩いていたんです。帰らない日も多く、家族が心配すると逆に怒鳴りつけて、もう手に負えませんでしたの。あの子は、そういう女なのです。他人を騙して絵を描いて人々に癒やしを与えるなんて、虚像もいいところですわ」

 さすがに、彼女のこの言葉は無視できなかった。
 猛烈な怒りが込み上げるのを感じながらも、どうにか理性で押さえつける。

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