すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 唯一、私の心を救ってくれたのは、伯父様がレイラを虐げていることだった。
 私はレイラが伯父様に叩かれるたびに胸がすっとした。
 その頃から、私はレイラに優しくするふりをして、彼女が苦しむ姿を楽しんだ。

 でも結局、その快感も一時のものだったわ。
 どうやってもレイラに敵わない現実を突きつけられるたびに、私は発狂しそうになった。

 結局アベリオの心も掴めなかったし、誰も私を見てくれない。
 あんなに着飾ってパーティへ出席しても、誰の心も掴めない。

 結局私ってその程度の人間だったのね。


 静寂の中で、壁にもたれかかって腰を下ろした。
 石の冷たさが背中に沁みて、思わず笑いが洩れた。

 レイラは死んだのかしら。
 あの高さから落ちたのだもの。
 きっと助からないはず――

 そう思った瞬間、胸の奥がなぜか痛んだ。


 コツコツと静寂を破る音が聞こえてきた。
 その音へ目線を向けると、そこにはアベリオの姿があった。

 私を溺愛してくれた伯父様でもなければ、私を産んだ母親でもない。
 私には家族なんていなかったのだと、再び現実を叩きつけられた気分だ。

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