すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
「何か用かしら?」

 私は座り込んだままアベリオの目も見ずに問いかけた。
 すると彼は淡々と告げた。

「君に報告がある。レイラは無事だったらしい」
「……え?」

 思わず振り向いた。
 アベリオは真顔だったが、どこか安堵を滲ませていた。

「そう……助かったのね。本当に強運な子だわ」
「君も、安堵しているだろう?」
「あはは……何を言っているのかしら」

 かすれた笑い声が、冷たい牢獄内に反響する。
 アベリオは静かな声音で話す。

「君だって本当は、レイラに死んでほしくなかったはずだ」
「……笑わせないで」

 綺麗事だわ。
 私の気持ちなんて理解できないくせに。


「君のしたことは許されない。だが、どれほど彼女を憎んでいても、心の底は慕っていたんだ」
「……愚かなことを言わないで」
「僕もそうだ。君も僕も、レイラを思っていた。なのに、僕らは……どこで間違ったんだろうね」


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