すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
滞在中はカレンの息子たちと庭で遊んだり、エレノア様とゆっくりお茶を楽しんだり、侯爵とカレンと皆で出かけたりと毎日慌しく過ぎていった。
短い滞在期間はあっという間に過ぎ、帰国の日はすぐにやって来た。
そして、帰国を明日に控えた夜。
私とエリオスはスヴェンの部屋を訪れた。
懐かしい香りと、かすかに残る絵の具の匂いがする。
灯りを落とし、窓から差し込む月明かりの中、ふたりで並んで座り、スヴェンの肖像画を見つめた。
エリオスは夢の中でスヴェンが描いた絵のことを話してくれた。
それは、一組の親子の絵だったという。
母親と思しき女性は、私によく似ていたそうだ。
そして、手を繋いで無邪気に笑う子供は、エリオスの幼少期にそっくりだったらしい。
「それは未来の夢かしらね?」
私が冗談めいてそう言うと、エリオスは照れくさそうに返した。
「俺の願望なのかもしれない」
私たちはそれ以上その話をしなかった。
いずれ訪れる未来をあれこれ語るよりも、今の時間を大切にして自然と訪れる未来を受け入れようと思ったから。
短い滞在期間はあっという間に過ぎ、帰国の日はすぐにやって来た。
そして、帰国を明日に控えた夜。
私とエリオスはスヴェンの部屋を訪れた。
懐かしい香りと、かすかに残る絵の具の匂いがする。
灯りを落とし、窓から差し込む月明かりの中、ふたりで並んで座り、スヴェンの肖像画を見つめた。
エリオスは夢の中でスヴェンが描いた絵のことを話してくれた。
それは、一組の親子の絵だったという。
母親と思しき女性は、私によく似ていたそうだ。
そして、手を繋いで無邪気に笑う子供は、エリオスの幼少期にそっくりだったらしい。
「それは未来の夢かしらね?」
私が冗談めいてそう言うと、エリオスは照れくさそうに返した。
「俺の願望なのかもしれない」
私たちはそれ以上その話をしなかった。
いずれ訪れる未来をあれこれ語るよりも、今の時間を大切にして自然と訪れる未来を受け入れようと思ったから。