すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 セリスは刑期を終え、自由の身となった。
 しかし、彼女は自らの意思で修道院へ入ったという。

 その後の暮らしを知る者は、私を含め誰ひとりいない。
 ただ、あるとき偶然彼女の姿を見たという者がいた。

 修道服をまとったセリスは貧しい人々に食事を分け与える奉仕活動をおこなっていたという。
 その姿を見た者が言うには、彼女はまるで人が変わったように、穏やかな笑顔を浮かべていたようだ。


 アベリオはあのあと、二度の結婚と二度の離婚を繰り返した。
 一度目の妻は、子を授からないことを責め立てられ、耐えきれずに家を出ていったという。
 二度目の妻は、姑との折り合いが悪く、わずか半年で離婚となった。
 今の彼は、懸命に縁談を持ちかけているらしいが、どうにも思うようにいかないようだ。

 いつだったか、パーティーの隅でアベリオがひとり、ぼんやりと立ち尽くしているのを見かけた。
 頬はこけ、かつての華やかさはすっかり失われ、実年齢よりもずっと老けて見えた。

 私たちは形式的な挨拶を交わしたが、彼の反応は鈍く、言葉も続かなかった。
 気づくと彼は静かにその場を立ち去り、それ以来、社交の場で姿を見かけることはほとんどなくなった。

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