すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 アベリオの前で、あなたが私を非難する姿を彼に見せる。
 その計画は完璧に成功した。

 アベリオはすでに私のことを信頼しきっていたもの。
 だって、そうでしょ。
 何度会いに行っても会ってくれない婚約者と、寂しいときにそばにいてくれる女友だち。
 どちらを選ぶかなんて、わかりきっていることよ。


 さあ、総仕上げよ。
 これで私の計画は完了する。


 あの日、私は意気消沈したレイラの部屋へ行ったの。
 毒草の原液が入った瓶を持って。

 ハーブ入りローズの香り。
 あれは人工的に作ったものよ。
 本当は違法薬物だったの。

 あれは匂いだけ嗅ぐと深い眠りに落ちる。
 だから、私は瓶の蓋を開けて置いたわ。


 そして、あなたが眠ったあとにもう一度、あなたの部屋へ入った。
 テーブルの上の瓶を手に取り、眠るあなたの右手に中身を少しずつこぼした。


 皮膚の焼ける匂いがして、思わずハンカチで口を塞いだわ。
 あなたの右手が溶けていく様子を見ると、さすがに怖くなったわね。
 自分がいかに恐ろしいことをしているのか、実感すると胸が痛くなった。

 だけど、私はやらなきゃいけなかったの。
 ここまで来たら、完全に私は悪になるしかなかった。

 それもこれも、すべて、あなたのせいだから。
 あなたが、私をこうしてしまったの。

 あなたさえいなければ、私はこんなひどいことをしなくてもよかったのよ。

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