すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
「ハルトマン様はお帰りになったの?」
「ああ。泊まっていくように伝えたが、次の用事が控えているらしい」
「お忙しい方なのね」
「そうだな」

 エリオスはお茶をひと口飲んで、わずかに目を見開いた。

「ああ、これは東方の茶だな。俺は大好物なんだが、君の口にも合うか?」
「ええ。とても美味しかったわ」
「そうか。カルベラは異種文化も多く入ってきている。不思議な魅力にあふれる国だ」
「ふふっ、旅行が楽しみだわ」

 エリオスも気遣ってくれている。
 私が少しでもカルベラに興味が持てるようにしてくれているんだわ。


「レイラ、先ほど会ったハルトマン侯爵のことだが、君はどんな印象を持った?」
「とても優しそうなお方だわ。カルベラに行くのがとても楽しみよ」
「そうか」

 エリオスは視線を遠くへ向けたまま、しばらく黙り込む。
 そして、重みを含んだ声で切り出した。

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