すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
 カルベラ国までの旅は、馬車で数日を要する。
 道中は宿に泊まりながらの移動だった。

 出発した日の夜に立ち寄った宿は大きな街道沿いにあり、食事のために入った食堂は、主に貴族たちで賑わう少し格式の高い場所だった。
 談笑や食器の音、香ばしい料理の匂いに包まれながら、私はエリオスと向かい合って食事をした。


 彼の好む料理は私と同じで、そのことがとても嬉しかった。
 外出先でこうして食事を楽しむのは、これまでほとんどなく、私にとっては新鮮な体験だ。
 しかもエリオスと一緒だから、その楽しさはひときわ増した。

 宿の主人はエリオスの事情を知っており、彼のために食べやすいよう工夫してくれている。
 そんな気遣いもまた、心が穏やかになれた。

 ところが、食事を堪能しているとき、となりのテーブルから思いがけない会話が耳に入った。

< 87 / 231 >

この作品をシェア

pagetop