すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~
「アベリオ?」
「えっ……」
「どうしたの? ぼんやりして」
「ああ、ごめんね。少し疲れているみたいだ」
「まあ、これから挨拶まわりなのに」
「大丈夫だ。さあ、行こう」

 僕がそう言うと、セリスはにっこり笑って僕の腕を掴んだ。

 セリスとふたりで貴族たちに挨拶をしてまわる。
 すると誰もがセリスの活躍を褒め称えた。


「セリス様の新作は本当に素晴らしいわ」
「光の表現がまるで本物のようだもの」

 彼らの言葉にセリスは満面の笑みを浮かべた。

 セリスは今までずっと冷遇されてきた。
 だから、ようやく実力を認められて心から喜んでいる。


 レイラ、まさか君が貴族学院時代からセリスに嫌がらせをしていたとは思わなかったよ。
 僕には正直、君とセリスの絵の違いはわからなかったが、君だけがいつも世間に評価されていることに少しだけ疑問は持っていたんだ。

 なぜ、君だけが評価され、セリスはずっと無視され続けてきたのか。
 今になってようやくわかった。

 君は本当に卑怯な人間だったんだね。
 心底軽蔑するよ。

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