ジュエル♡ハント~治癒王子は愛しの彼女を過保護に守る~


学園内のスピーカーでもない、もちろん周りの人でもない、どこからでもないのだけど、確かに頭の中に声が聞こえてくる。

驚いて周りを見渡すけれど聞こえている様子はなく、みんな普通に教室を出て休み時間を過ごしている。



『突然で驚かせてごめん。この声は2人と日向黄輝の3人だけに聞こえているはず』



日向くんを見ると、大丈夫だよ、というように目を合わせて頷いてくれている。

少し冷静になってみて考える。この声の主とそのジュエルを思い出した。



『僕は心理部門リーダーの橘 陽色(たちばな ひいろ)。橙山さんは久しぶり、森野さんは初めまして』

『黄輝から聞いているかもしれないけれど、今日の放課後少し時間をもらいたい』

『お時間取らせて申し訳ないがクリスタルルームに来てほしい』

『必ず来てほしい……ラピスラズリのお2人には……』



その言葉を最後に脳内へ声が届くことはなくなった。
< 44 / 165 >

この作品をシェア

pagetop