もう分別のある 大人ですから
家に戻るなり、赤澤は深いため息をついて床に座り込んだ。
缶チューハイを開け、喉が焼けるのも構わず一気に流し込む。
黒木はといえば、床に寝転がったままスマホを眺めている。
「なに、その顔。幸せ逃げるぞ」
「もうとっくに逃げられてる」
「青葉?」
赤澤は少し間を置いてから、ぽつりとこぼした。
「……彼氏いるって」
「あー」
短い相槌だけで、黒木は察したようだった。
「そりゃ残念だな。いい感じだったのに」
「なんで今まで言ってくれんかったと思う?」
「さあな。言う必要ないって思ってたか、
……言いたくなかったか」
赤澤は何も返さない。
代わりに、缶を傾ける。
「このタイミングで言ったってことはさ、
年齢的にも、結婚とか考えてんじゃねぇの?」
缶の中身が、どんどん減っていく。
「……やだ」
子どもみたいな一言だった。
「それはもう、どうしようもねぇよ」
新しい缶を開ける音が、やけに大きく響いた。
「嫌われる覚悟でいくか、諦めるかだな。
結婚してからじゃ遅いけど、まだ間に合うっちゃ間に合う」
「そういうのは嫌だ」
即答だった。
「……あいつが傷つくことはしたくない」
それ以上、黒木は何も言わなかった。
相槌を打ちながら、赤澤が飲み続けるのを、ただ黙って見ていた。
缶チューハイを開け、喉が焼けるのも構わず一気に流し込む。
黒木はといえば、床に寝転がったままスマホを眺めている。
「なに、その顔。幸せ逃げるぞ」
「もうとっくに逃げられてる」
「青葉?」
赤澤は少し間を置いてから、ぽつりとこぼした。
「……彼氏いるって」
「あー」
短い相槌だけで、黒木は察したようだった。
「そりゃ残念だな。いい感じだったのに」
「なんで今まで言ってくれんかったと思う?」
「さあな。言う必要ないって思ってたか、
……言いたくなかったか」
赤澤は何も返さない。
代わりに、缶を傾ける。
「このタイミングで言ったってことはさ、
年齢的にも、結婚とか考えてんじゃねぇの?」
缶の中身が、どんどん減っていく。
「……やだ」
子どもみたいな一言だった。
「それはもう、どうしようもねぇよ」
新しい缶を開ける音が、やけに大きく響いた。
「嫌われる覚悟でいくか、諦めるかだな。
結婚してからじゃ遅いけど、まだ間に合うっちゃ間に合う」
「そういうのは嫌だ」
即答だった。
「……あいつが傷つくことはしたくない」
それ以上、黒木は何も言わなかった。
相槌を打ちながら、赤澤が飲み続けるのを、ただ黙って見ていた。