Secret love.
「…今からカフェスペース行くんです。及川さん代わりに付き合ってあげたらどうですか?」

「「え?」」


太一の提案に私も及川くんも少し驚いて声が重なる。2人で顔を見合わせると太一は「やる事思い出したんで。」とだけ言って、私達を置いていってしまった。

先程の話を聞いた後に及川くんと2人きりなんて気まずいに決まっている。


「お昼食ったんでしょ?」

「食べた。」

「そっか、俺は腹減ったし、食堂に入ろうかなって。」

「うん、わかった。」


及川くんの言葉に短く返事をすると、首を傾げている。


「何かあった?」

「……あのさ、」


そう話をした時に「及川先輩?」と可愛らしい声が聞こえてきた。及川くんが振り返ると真顔の姫野さんが見えて、私の姿が見えるなり少し驚いた顔をして、それから笑顔を向けてくる。


「お疲れ様です~!川﨑先輩!」


先程までは落ち着いた声だったのに、私の姿が見えるといつもの私は好かないぶりっこの声。それから及川くんの隣に並ぶと「後輩にお昼奢ってくださいよ」なんて言って、腕を組んでいる。


「うわ、そうやって毎度男に奢らせてる訳ね。俺にはそんな技効かないけど。」

「そんなんじゃないですよ~」


及川くんは腕を離させてから、姫野さんは頬を膨らませてる。こんな意味の分からない会話なんて聞かされたくない。

私は特に2人に何も言わずに私はその横を通り過ぎる。ここではただの同期の私には何も言う権利が無いから、通り過ぎるしかない。

私にはどうして及川くんが姫野さんと普通に話せているのか分からなかった。
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