Secret love.
「川﨑って同じもの何回見ても楽しめる人?」

「もちろん、良作は何度見てもいいよね。」

「じゃあ、後日俺の家で最初から見るのは?」


まさかのお誘いに驚いて横を歩く及川くんの方を見ると、冗談で言っている様子は無く、どう答えるのが良いのか分からなかった。

及川くんと2人で過ごすのは別に嫌じゃない。だけど、交際もしていない男女が2人きりで家で映画鑑賞は、危険すぎるのではないかと思った。


「…それは、どういうつもりで誘って来てるの?」

「どういうつもりって?」


こういう時の及川くんがずるいのはもう分かっている。これ以上質問しても欲しい答えはもらえないだろうと判断して、その話を続けるのを止めた。


「付き合ってないのに2人で家で映画鑑賞するの?」

「家じゃなきゃどこか良い場所ある?」

「1人で見ればいいじゃん。」

「そんな寂しい事言うなって。嫌?俺と2人は。」

「嫌とかじゃないけど…。」


今時交際していない男女でも家の中で2人きりになるのは、私が警戒しすぎで普通なのか、なんて考えてしまう。


「それか、誰か好きな男でもいた?」


その問い掛けにすぐに「居たら及川くんと出掛けてない。」と即答した。


「まじ?」

「まじ」


そんなやりとりを短く済ませた後、少しだけ嬉しそうな表情をしていた気がして驚いた。その表情を見てから、何となくここで及川くんの誘いに乗れば何かが始まる気がして「映画、いつにする?」と問い掛けた。

私の言葉が意外だったのか少し驚いた表情をしてから笑って「今度連絡する。」と、その日は決めなかった。
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