Excessive love.
「でも…お金もかかりますし。私も働きに来ているわけですから、何も無いのに来るのは…」

「仕事で来ているからお金が発生するのは当然の事だし、気にしなくて良いよ。ご飯を作ってくれて、普段掃除できないところとかを掃除してくれるのも凄く助かってるし、ちゃんとお金に見合う働きもしてくれてるから、気にしないで」

「そこまで言ってくださるなら、これからも呼んで頂いた時は精一杯お仕事させて頂きますね」

「うん、お願いします」


 二人のやり取りを傍らで聞いているうちに、胸の奥がじんわりと温かくなってきた。

 大好きな人たちが、お互いを敬いながら言葉を交わしている。その光景があまりに尊くて、泣きそうになるのを必死に堪えて口元を覆った。

 だけど、二人は真面目な話をしていた真っ最中に、その横で、なぜか一人で感極まっている女がいたら不思議に思うのも無理はない。

 直樹さんと安住さんが、同時にこちらを向いて首を傾げた。


「実季?」

「あ、気にしないでください。今私は感動中です」

「何に」


 直樹さんはおかしそうに笑うと、「着替えてくる。実季も早く着替えておいで」と言い、去り際に私の額へ軽く口づけを落とした。

 そのまま彼は自分の部屋へと戻っていったけれど、残された私は安住さんの視線を前に、恥ずかしさで顔から火が出そうだった。

 安住さんは、今の光景をしっかりと目に焼き付けた様子で「あら…」と声を漏らす。


「愛されてますね、実季さん!」

「あの…、恥ずかしいです」

「あまりに可愛らしいから、朝倉さんも思わずしてしまうんでしょうね。わかります」

「もう、本当に勘弁してください」


 安住さんは私の様子にふふっと笑いを零すと、エプロンを外して帰り支度を始めた。
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