Excessive love.
「…私が好きなのは、直樹さんだけ」


 勇気を出して伝えたその言葉に、彼は一瞬だけ驚いたような顔をしたけれど、すぐに嬉しそうな表情を見せてくれた。

 私の言葉一つで、こんなにも素直に感情を動かしてくれる。
 そのことが、私までもたまらなく幸せな気持ちにさせた。


「…子供っぽい事言って、引いてない?」

「引かないよ」

「本当、情けないな。君を好きすぎてあまり余裕が無いみたい。常に子供みたいな自分が顔を出してくるんだ」

「嬉しいから、直さなくて良い」

「…これが嬉しいって、変わってるな」


 その夜は、どちらからともなく腕を回し、ずっと抱き合ったまま語り合った。

 同じ家で暮らしていても、平日はどうしてもそれぞれの部屋で過ごす時間が長くなってしまう。こうして眠気が訪れるまで、他愛もない話を重ねるなんて、きっと今日が初めてのこと。

 お互いを激しく求め合ったあの夜も、私達には必要だった。だけど今は、お互いを知るためにゆっくりと紡ぐこの時間が、何よりも愛おしくて、大切だと思った。

 心が静かに通じ合っていく実感に、私は深い安らぎを覚えていた。

 気付けば、先に意識を手放していたのは私の方だった。

 眠りにつく間際まで、心地よい体温が私を包んでいたこと。そして、そんな私の寝顔を直樹さんがどれほど愛おしそうに見つめ、何度も静かに額へ口付けを落としていた。

 幸せな夢の中にいた私は、それを知らない。
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