Excessive love.
職場から戻ってきて、軽く事務作業をこなしてそのまま帰ろうとしていた。

直樹さんはまだ会議が少し長引いている様で、帰ってくる様子は無い。

もし定時で私が上がれそうで、直樹さんが遅くなる日は先に帰っててと、言われていた。一緒に帰れる日は当然同じ家に住んでいるわけだし一緒に帰る。

周りに「お先失礼します。」と声を掛けて、オフィスから出ようとした時だった。


「実季。」


名前を呼ばれて声の方向を見ると隆太で驚いた。こんな風に声を掛けてくるのは、あの旅行の時以来だ。

隆太の表情が暗く、何だか深刻そうだった。


「…久しぶり。どうかした?」

「どうしても話したい事があって。」

「何?」

「ここじゃ…。そこの人通り少ない廊下でも良いからちょっと時間貰って良い?」


余程言いづらいことなのか、人通りが多い場所から避けようとはしているが、完全に人目に付かない所に行くつもりもないらしい。

完全に2人きりではないならいいかと思い「分かった。」と応じることにした。

隆太の事だから逆恨みで殴ってきたりは無いだろうけど、仮にも元恋人同士で2人きりの空間に入れば、何かしらの疑いがかかるだろうし、変な不安を直樹さんにも与えたくはなかったから、人目には一応入る所での会話は賛成だった。
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