Excessive love.
 痛々しい痕が残る頬を押さえる隆太の前に、私は静かにしゃがみ込み、ハンカチを差し出した。


「…実季」

「もう、いい。何も思ってないの本当に。許せたわけじゃ全然ないけど、全部直樹さんが前を向かせてくれたから、大丈夫」


 そ私が微かに微笑むと、隆太は何とも言えない、苦渋に満ちた表情で下唇を噛んでいた。


「そうだな…、罪悪感があるなら、今後の事、協力してくれる?」

「協力?」

「写真をばらまく前に隆太から姫野さんにきちんと話してくれる?全部私達に話した事と、もし写真をばらまいたら自分がしたことも同時に話すつもりって、隆太は話して。私達の間でどうにか終わらせたい」


 私の提案は意外だったのか、隆太も直樹さんも、驚いたような表情で私を見つめていた。

 これは、決して隆太や姫野さんに対する情けではない。
 ただ、直樹さんを守るためだけに、この提案をした。


「…実季は、それで良いわけ? あみの悪事全部バレた方が良いんじゃないの」

「え、何も噂が立たないならその方が良いよ。直樹さんも何も言われなくなるし。噂って、立っちゃったらどう話が膨れ上がるか分からないから、無い方が良い」

「…そっか、わかった。そうする」

「うん。交渉成立って事で」


 隆太はまっすぐに私を見つめ、そこで初めて、絞り出すような声で「ごめんな」と言葉を口にした。
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