Excessive love.
「おかえりなさい!」

「ただいま」


 出迎えた私に、直樹さんはふわりと微笑んで、愛おしそうに私の額へ口付けを落としてから中へと入った。

 リビングで、朝からきちんとしめられていたネクタイをゆっくりと緩め「何かいい映画あった?」と問いかけてくる


「いくつか候補は見付けたよ。移動中話してもいい?私まだ準備済んでいなくて」

「わかった。俺も準備してくるから、準備が済んだらリビングで」


 直樹さんの言葉に頷き、私は自室へと急いだ。あとは着替えと髪のセットだけだから、そこまで時間はかからないはず。

 手早く支度を済ませてリビングに戻ると、すでに着替えを終えた直樹さんが待っていた。


「お待たせ」


 声をかけると、彼はこちらへ振り向き、柔らかな笑顔を浮かべた。


「全然待ってない」


 そう言いながら彼は私に歩み寄り、そっと抱き寄せた。不意のことに驚き、身が固まる。


「本当、可愛い。一人占めしていたいな、このまま」

「何言ってるの、出掛けるんでしょ?」

「…うん」

「直樹さん?」


 少しだけ声色の甘くなった彼に、問いかけるように名前を呼ぶと、彼は小さく笑った。


「行こうか」

「うん」


 そんな会話をして、ようやく並んで玄関を出る。こうして着飾る度に可愛いと惜しみなく伝えてくれるから、頑張ってオシャレをした甲斐があったといつも思う。
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