Excessive love.
「…凄く嬉しいご提案なのですが、申し訳なさすぎます…」

「そんなことを思う必要は無いよ。むしろこっちが恥ずかしいお願いをしているわけだし、家が決まるまでの間でも、いつまでもいてくれて構わないし」


 どこまでも優しすぎる提案。今の私には、救われる様な提案だけど素直に甘えることが出来なかった。

 答えを悩んでいる私を察したのか、課長は「急に言われても困るよな」と言って、スッと立ち上がる。


「でも俺は、大歓迎だから少し考えてみて。ひとまず昼休憩も後数分だから戻るか」

「本当にありがとうございます」

「全然、この話だけじゃなくても何かあったら話聞くから気軽に相談して」


 そう言って先に会議室を出る課長の背中を見送りながら、私は大きく息を吐いた。

 その後の午後の仕事のことは、正直よく覚えていない。課長の言葉が頭の中でリフレインして、他のことを考える余裕なんて全くなかったからだ。

 実家は遠方で頼ることはできない。もし課長が本当に宿を貸してくれるというのなら、ものすごく助かる。それに、家事という形で少しでもお返しができるなら…。

 そんな葛藤を繰り返しているうちに、時計の針はあっという間に定時へと差し掛かっていた。帰り支度を整え、重い腰を上げようとした、その時…。


「せんぱ〜い」


 背後から響いた、鼓膜にへばりつくような甘ったるい声。

 嫌な予感しかしない。振り返りたくないけれど、無視することもできず、私は拒絶反応を押し殺してゆっくりと顔を向けた。

 そこに立っていたのは、言うまでもなく、姫野さんだった。
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