Excessive love.
「あのさ」

「はい?」

「今日定時の後真っ直ぐ帰ってたのに遅かったから何かあったのかなって。行き過ぎた質問なのは分かっているんだけど」


 朝倉さんの問いかけに、箸を止める。

 隆太とのことは隠すような話ではないけれど、せっかくの美味しい食事の場で話すには、少し不愉快な内容だし、話すべきか一瞬迷った。

 だけど、このまま一人で抱えても、いずれどこかで話を聞くかもしれない。私は意を決して、先ほどのカフェでの一連の出来事を打ち明けることにした。


「実は、昼間に少し問題があった様で。加藤君が経理の川﨑さんに今私がどうしているのかと聞いて揉め事が起きたそうなんです」

「揉め事?」

「川﨑さんは、私が酷く傷つけられたのを知っていてかなり言ったみたいで…、それで人の事をこれ以上巻き込む様な事にならないように早めに蹴りをつけた方が良いと、及川くんからアドバイス頂いて、加藤くんと話してきたところでした」

「及川が?」

「その現場見ていたのは及川くんだったので、教えてくれたんです」

「なるほどな」


 話を一通り聞いた朝倉さんは、何かを思案するように視線を落とし、それからゆっくりと私に向き直った。


「今度からそう言う場には俺の事も呼んでくれたらいいよ」

「え…?」

「冷静じゃなくなった男は何するか分からないから」

「…はい、お気遣いありがとうございます」


 私はその厚意を、今はありがたく受け取ることにした。

 本当なら、もうこれ以上何も起きないことが一番。いっそ、彼と姫野さんがさっさと交際して、幸せにでもなってくれた方がこれから先安心なのに。

 まだまだ安心できない状況に、漠然とした不安に襲われた。
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