Excessive love.
「朝倉さんは…、どうして私を拾ってくださったんですか?」

「拾うって、そんな捨て猫とかじゃないんだから。」

「似た様な物です。」


笑う朝倉さんに私も少し笑うと「そうだなあ…」と言葉を漏らして、それから1口缶ビールに口を付けていた。


「…新田の痛みが分かるから放っとけなかったのかも。」

「え?」

「もう今から10年くらい前だけど、大学時代から交際していた彼女と結婚を考えた時があったんだ。その時は遠距離で、会いに行ったら浮気されてた。」


そんな話聞いたことも無かったからすごく驚いた。朝倉さんは恋人が出来たとかそういう話を聞いたことが無いと周りはよく話していたけれど、出来なかったのかもしれない。


「別に家に呼ばなくても当然社員寮を提案出来たけど、同じ会社で浮気相手が居て元恋人も居て、どこか拠り所が無いと壊れてしまうんじゃないかって思って…。どうにかして力になりたかった。」

「そう、だったんですね…。」


自分の気持ちもよく分からない。恋愛なんてもうこりごりだと思っているはずなのに、朝倉さんといると不意の事にときめいたりするし、その時の事を100%善意だったと言われるとショックを受けてしまう。

少しくらい私に気があったからと言われたら、浮かれてこの恋に飛び込めたのか…、定かではないけれど。


「朝倉さんは…、その当時の事、今はどう思っているんですか?」

「…うーん。何も思っていないけど、恋愛をする気になれないのはその当時の事を引き摺っているせいだなとは思う。そもそも自分が当時の彼女を大事に出来ていなかったから、自業自得だけど。」


切ない表情で笑いながらそう言う姿が自分と重なって、何だか痛々しかった。そう言わなければやっていられない理由が分かるから。

隆太に浮気された時、姫野さんに女性として負けて可愛げのない女だから浮気されたと自分のせいにした。
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