Excessive love.
 気づいたら、頬を熱いものが伝っていた。

 視界が滲み、朝倉さんの顔が歪んで見える。

 朝倉さんは一瞬、目を見開きこちらを見ていた。


「…新田?」

「そんな風に、言わないでください」

「え?」

「今は…、どんな理由があれ、浮気が正当化されて良い訳が無いって思いたいんです。あんな風に好き勝手言われて、あまりに悔しくて、どうにか見返してやりたいから」


 これまでは、これ以上事を荒立てたくない、自分が我慢してやり過ごせばいいと思っていた。

 だけど、一方的に隆太にめちゃくちゃに責められたこと、そして何より、私を助けてくれた朝倉さんを侮辱するような隆太の発言が、どうしても許せなかった。

 今付き合っている相手がいることを知りながら、遠慮もなく手を出したと取れるような、あの最低な発言。それを黙らせるために、朝倉さんに嘘を言わせてしまったことも。

 溢れ出す涙が止まらない。

 そんな私の震える肩を見て、朝倉さんが静かに寄り添ってきた。

 彼は大きな手で私を優しく抱き寄せると、あやすようにゆっくりと頭を撫でてくれた。その手の温もりが、あまりに優しくて、涙が止まらなかった。

 落ち着くまでずっと、彼は言葉を重ねる代わりに、その手を止めることなく私を支えてくれた。

 そういう、どこまでも誠実で優しいところが好きだ。

 だけど今だけは、その優しさがひどく残酷に思えて、胸の奥が張り裂けそうになった。
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