Excessive love.
「…いいな、私もそうなったらそうなった時って考えたいのに」

「…何かあったの?」


 優花の呟きは、ひどく熱を欠いていた。いつもなら惚気混じりに及川くんの話をする彼女が、今は揺れている。


「昨夜、及川くんが急に飲みに行って泥酔して帰ってきたんだけど、女性物の香水服に付けて帰って来た」

「え…? どういうこと? 合コン? それとも他の何か?」

「わからない。今日確かめようとしたら、職場に呼び出されて。事務が週明けまでの仕事になった事及川くんに伝えてなかったらしくて…」

「そう、なんだ…?」


 優花の言葉を聞きながら、私の脳内では違和感を感じていた。

 私達の営業部では、上司が仕事を振る時はダイレクトに本人に指示を飛ばす。事務を介しての伝え漏れなんて、そもそも起こり得ない。もし万が一ミスがあったとしても、土曜の夜に呼び出す前に、上司が自ら調整に動くはず。

 それに、昨日の退社時の記憶だけれど、及川くんが合コンに誘われているのは優花と確かに目撃した。だけど、退社時にその先輩達と飲みに行く姿なんて見かけなかった。むしろ、上司と一緒にオフィスを出ていったはずだ。


(オフィスの外で合流したの? それとも、あの後で誰かと…?)


 いくつもの不確定な情報が頭を巡るけれど、不安そうにしている優花に、不確定な情報で情緒を乱させるわけにはいかなかった。
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